非遺伝性ミオパチー

その他の後天性ミオパチー

1.ICUで発生する筋力低下(critical illness myopathy)

集中治療室で1週間以上人工呼吸器を装着して治療された患者の25%以上で、四肢筋力の明らかな低下が見られ、初期には高CK血症をともなう病態が知られている(Bolton, 2005)。これまでquadriplegic myopathy, relaxant-steroid myopathy, critical illness myopathy などの名称が用いられてきたが、同時に末梢神経障害 (critical illness neuropathy)が起きる例があることから、近年は ICU-acquired weakness と呼ばれるのが一般的となっている。ICUで呼吸管理するときに使用されることの多い神経筋接合部遮断型筋弛緩剤と副腎皮質ステロイドの病態への役割が注目されてきたが、必ずしもそれらが使用されていない例も含まれることが明らかになっており、病因については未だに解明されていない。

筋病理では type 2 fiber atrophy が見られるとともにfiber type を問わず筋原線維の thin filament の減少がみられる。また同時に空胞形成やミトコンドリアの変化が見られる(Matsubara,1994;1999b)(Larsson, 2000)。さらに神経原性の変化が加わることもある。

病因についてこれまで提唱された仮説の中には多数の要素が混在しており、病気自体と脱神経と筋弛緩剤による長時間にわたる無動状態の持続、副腎皮質ステロイドによる蛋白異化作用などの毒性、循環障害、菌血症などによるサイトカインなどが関与して筋収縮物質が変性する可能性が指摘されている。

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