遺伝性ミオパチー

筋ジストロフィー

6.眼咽頭型筋ジストロフィー

眼瞼下垂を主とする外眼筋と咽頭筋、球筋の筋力低下に加えて、四肢近位筋に症状が見られる。球症状は嗄声や舌萎縮、嚥下困難として現れやすい。中高年になってから発症し、緩徐進行性で、高齢になって歩行困難になる患者が多い。大多数の患者で初発症状となる眼瞼下垂のため、それを補正するために首を伸展する姿勢がよく見られる。常染色体性優性遺伝形式をとるため、先祖の写真を見せていただくと眼瞼下垂の方を見いだすことがある。

遺伝子異常はカナダ・ケベック州のフランス系住民で見いだされた染色体14q.11.1のpolyadenylate binding protein nuclear 1(PABPN1)遺伝子にあるGCG repeat の伸張である(Brais, 1998, 2009)。

筋病理学的には比較的軽度のミオパチーで、小角化線維のように一見みえる萎縮線維にしばしば縁取り空胞がみとめられる(Fig20a)。一部の核は大型で中央に染色の薄い部位を有し、電子顕微鏡ではこの部分に横径10 nmとやや細い線維性封入体がみられることがある。この封入体はPABPN1を含んでおり、この線維は複雑な網目状の配列を示す(Tome, 1989)(Fig.20b,c)。

Fig.20
眼咽頭型筋ジストロフィーは優勢遺伝形式をとり、poly A binding protein nuclear 1(PABPN1) の遺伝子異常によりおきる疾患である。筋病理では縁取り空胞(矢印)をもつ萎縮線維が散見され、その核の一部にはPABPN1の増加が見られ(b)、電子顕微鏡で10nmの poly A binding protein を含む線維性封入体が観察される(C).

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