Mitochondrial myopathy encephalopathy lactic acidosis and stroke-like episodes(MELAS)は名前のとおり筋力低下と知能障害や脳卒中様症状があり高乳酸血症をともなうミトコンドリア異常症である (Fig.32)。
Fig.32
MELASのストローク様エピソードに際してはしばしば後頭葉に病変を認めます。
このほか痙攣、頭痛、難聴、心伝導障害、低身長、糖尿病などをともなうことも多い。約80%にミトコンドリアDNAのうちロイシンtRNA遺伝子内の3243に点変異をみとめるが、その他にも点変異が少数知られている。ヘテロプラスミーがみられ、母性遺伝例があるが、母に上記点変異があっても発症者が少ないのはヘテロプラスミーで変異遺伝子の割合が低いことによると考えられている。
筋病理学的には ragged red fiber がみられ、COX 活性の低い線維がみられ、また strongly SDH-reactive blood vessel(SSV)が間質に観察されることがある (Fig.33)。
Fig.33
MELASでは血管にsuccinic dehydrogenase(SDH)の高い活性が認められることがある(a:矢印)。電子顕微鏡では、筋細胞内の結晶様封入体(b)に加えて、本例では筋内小血管のペリサイトにはミトコンドリアで充満している(c)。