膠原病に筋炎が合併することがあることは古くから知られている。とくに混合性結合織病(MCTD)、全身性強皮症、SLE、関節リュウマチ、シェグレン症候群などで比較的おおく発生の報告がある(Troyanov, 2005)。しかし、これら膠原病の症状の重さと筋炎の程度の比重は様々で、筋症状の程度や検査成績の異常の程度にも症例により差がある。膠原病の症状が主体であるものが多く、その治療でよい例が多い一方、中には筋炎の症状が主体で、筋炎として治療するべきと思われる例もある。前者では筋病理学的には間質に軽度の細胞浸潤がみられ、変性筋線維が散在する程度のものが多い。浸潤細胞は少数のCD4+細胞が主体であることが通常である。シェグレン症候群のように形質細胞が出やすいものもある。まれにperifascicular atrophy が見られるが、むしろそのときはDM合併の可能性も考慮する必要がある。
膠原病が合併していない筋炎の疑われる症例の生検筋で同様の所見が得られることが少なくない。診断基準では非特異的筋炎と病理診断されることになるが、この中には膠原病合併筋炎またはそれに類似する病態が存在する可能性がある。
抗ミトコンドリア抗体陽性の原発性胆汁性肝硬変の患者では炎症性筋症と心筋症の合併が高頻度に見られる (Maeda, 2012)。