非遺伝性ミオパチー

内分泌疾患に伴うミオパチー

1.甲状腺疾患

(1) 甲状腺機能亢進症

甲状腺機能亢進症では程度は軽いものの高頻度に筋萎縮と筋力低下が見られる。筋力低下は主に近位筋に見られ、長期間罹患した患者に起きやすい。筋病理ではミトコンドリアの数の増加(Engel, 1966a)、type 2 fiber の数の増加(Ianuzzo, 1977)、横紋構造の消失、塊状の核(nuclear clump) 形成、巨大ミトコンドリア、空胞変性、リポフスチン沈着 (Korenyi-Both, 1981)などの非特異的な所見が報告されている。機序として過剰な甲状腺ホルモンによるミトコンドリア機能の亢進や酸化的リン酸化の異常など諸説が提起されている。

東洋人の男性患者に多い低カリウム性周期性四肢麻痺も甲状腺機能亢進症の重要な筋合併症である。遺伝的な素因の関与が明らかになりつつあるが、近年欧米などでも症例報告が増加している。筋のNa+/K+ATP ase の機能亢進とK+排出機構(inwardly rectifying potassium channel: Kir 2.6)の機能低下による低カリウム血症が主な原因と考えられている(Falhammar, 2013)。

(2) 甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症にともなうミオパチー(hypothyroid myopathy)は筋力低下、筋痛を主症状とすることが多いが、診察では近位筋萎縮とともに、マウンディング現象(ハンマーの先端で軽く殴打すると、局所が短時間隆起する)を認めることがある。軽いグリップミオトニア様の手指の伸展障害が見られることもある。また明らかな筋の仮性肥大をともなうことがありHoffmann 症候群と呼ばれる病状を呈する(Fig. 50)。小児でクレチン病と共に筋肥大をともなう状態は Kocher-Debre-Semelaigne 症候群と呼ばれている。

Fig.50
ホフマン症候群
① 甲状腺機能低下症の患者に筋の仮性肥大が見られたが、筋力は軽度に低下していた。
② 筋生検では筋線維横径の異常な大小不同、一部の線維の変性、および間質の開大が見られた。

15例の生検筋を調べたModi(2000)の報告によれば、筋では高頻度にコアを認め、間質にはglycosaminoglycans とコラーゲンが沈着してmyoedeme の状態となっていた。

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