⑫ 染色

免疫組織化学染色:蛍光染色法

免疫染色法は抗原に抗体が結合する抗原抗体反応を利用した染色法である。

特定の抗原に結合する抗体を切片上で反応させて、できあがった抗原抗体複合体に色をつけることで可視化する。

可視化する際に、蛍光色素を利用する染色法を蛍光染色という。

染色手順

1脱パラフィンキシレン3槽、各10分
2脱キシレン100%エタノール3槽、各5分
3浸水95%、70%エタノール各5分
4流水洗水道水 
5水洗蒸留水 
6抗原性賦活化処理0.01Mクエン酸バッファー、 pH6.0オートクレーブ、10分、120℃
7流水洗水道水 
8水洗蒸留水 
9洗浄PBS3回、各5分
10ブロッキング10%正常動物血清+0.01%アジ化ナトリウム1時間以上、室温
11一次抗体 一晩、4℃
12洗浄PBS3回、各5分
13洗浄70% エタノール 
14自家蛍光低減TrueBlack® Lipofuscin Autofluorescence Quencher3分、室温
15洗浄PBS3回、各5分
16二次抗体 1時間、室温
17洗浄PBS3回、各5分
18洗浄PBS + 0.02%アジ化ナトリウム 
19封入  

※ ⑭以降は自家蛍光低減効果が弱まるためPBSTは使用しない

抗原賦活化

抗原決定基がホルマリン固定によってマスクされて、抗体と結合できなくなることがある。そこで、抗原賦活化処理によってマスクされた抗原決定基を露出させ、抗体と結合できるようにする。

抗原賦活化処理には加熱処理、蛋白分解酵素処理、ギ酸処理がある。

加熱処理

方法:電子レンジを使う方法
  1. ビーカーなど耐熱容器に加熱溶液とスライドグラスを入れる。上にフワッとラップをかける
  2. 別の耐熱容器に加熱溶液と同量の蒸留水を加える
  3. 家庭用電子レンジでスライドグラス入り耐熱容器と蒸留水入り耐熱容器を10分加熱
  4. 加熱溶液が減ってスライドグラスが水面からはみ出る場合、同時に加熱した蒸留水で減った分量を補う
  5. さらに5分加熱
  6. 常温に放置して冷ます。手で触れることができる程度に冷めたらスライドグラスを取り出して水洗する
方法:オートクレーブを使う方法
  1. 蓋付き耐熱容器に加熱溶液とスライドグラスを入れる
  2. オートクレーブで120℃10分間加熱する
加熱溶液

※基本は0.01Mクエン酸緩衝液、pH6.0で加熱する

蛋白分解処理

ギ酸処理

※ Aβなどギ酸処理が必要な抗体がある

使用する試薬

① 洗浄液

② 抗原賦活化液

③ ブロッキング液

※ 二次抗体と同じ動物種の血清を用いる。

④ 自家蛍光抑制液

もしくは、