⑫ 染色

ボディアン(Bodian)染色

プロテイン銀によって神経突起および細胞骨格の凝集体(神経原線維変化)を赤紫色に染める。Bodianによって1935年にパラフィン切片用として開発された神経鍍銀法の1種である。染色手技は簡単で、しかも安定した染色結果を得ることができる。

染色手順

注意:鍍銀・鍍金の行程では、金属製品の使用は避け、プラスチックおよびガラス製品を用いる。

染色手順条件切片の色
①脱パラフィン、水洗
②蒸留水洗3回
③鍍銀:0.5%プロテイン銀水溶液37℃、一晩薄い茶色
④蒸留水洗 Ⅰ〜Ⅲ槽各槽で5回程度ずつ切片をゆらす。
手早く
⑤還元:ヒドロキノン・無水硫酸ナトリウム液10分黄土色
⑥流水洗数分
⑦蒸留水洗
⑧鍍金:1%塩化金水溶液1時間最初は色が抜けて白くなるが、時間の経過に伴い色が濃くなる。1時間後は茶色がかった紫色になる
⑨流水洗10分紫色。流水洗の長さで染め上がりの色合いが異なってくるので注意が必要。10分以上水洗すると色合いは落ち着く。
⑩2%シュウ酸水溶液5分濃い紫
⑪流水洗
⑫定着:写真の定着液(10倍希釈)もしくは5%チオ硫酸ナトリウム水溶液10分赤茶紫。定着液に入れる時間の長さによって色合いは異なる。長いほどコントラストがはっきりする。
⑬流水洗10分以上
⑭脱水、透徹、封入

作業手順

ここでは大型切片を用いた作業手順を説明しています。
大型切片を染色するためにシャーレを利用しますが、標準サイズの切片は染色バットを利用して染色します。

作業色変化

①脱パラフィン、水洗

②蒸留水洗

  • 3回
  • ここからプラスチック製ピンセットを使う

③鍍銀

鍍銀液:0.5%プロテイン銀水溶液

  • 37℃、一晩

  • 銅片を蒸留水で洗い、静かにプロテイン銀水溶液に沈める。
※銅片は端に置く。 ※小さい切片を染色バットに入れる場合は、銅片を底に置く。 鍍銀液に一晩浸けた後
(うすい茶色)

④蒸留水洗

蒸留水Ⅰ〜Ⅲ槽

  • 各槽で5回程度ずつ切片をゆらす。
    手早く

⑤還元

還元液:ヒドロキノン・無水硫酸ナトリウム液

  • 10分
還元液に入れる前
(うすい茶色)
還元液に入れた後
(黄土色)

⑥流水洗

水道水

  • 数分

⑦蒸留水洗

蒸留水Ⅰ〜Ⅲ槽

  • 各槽で5〜10回切片をゆらす

⑧鍍金

鍍金液:1%塩化金水溶液

  • 1時間
塩化金に入れた直後。白っぽい 30分経過。時間の経過に伴い色が濃くなる。 1時間経過。茶紫

⑨流水洗

水道水

  • 10分
  • 流水洗の長さで染め上がりの色合いが異なってくるので注意が必要。10分以上水洗すると色合いは落ち着く。

⑩調色

2%シュウ酸水溶液

  • 5分
  • ここから金属製器具を使ってもよい
2%シュウ酸に入れる前 入れた後(濃い紫)

⑪流水洗

水道水

  • 数分

⑫定着

定着液:写真の定着液(10倍希釈)もしくは5%チオ硫酸ナトリウム水溶液

  • 10分
  • 定着液に入れる時間の長さによって色合いは異なる。長いほどコントラストがはっきりする。
定着液に入れる前 入れた後(赤茶紫)

⑬流水洗

水道水

  • 10分以上

⑭脱水、透徹、封入

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染色結果

内包の軸索(200倍)

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試薬

  1. 0.5%プロテイン銀水溶液
  2. ヒドロキノン・無水硫酸ナトリウム液
  3. 1%塩化金水溶液
  4. 2%シュウ酸水溶液
  5. 写真の定着液(10倍希釈)もしくは5%チオ硫酸ナトリウム水溶液

試薬の調整

0.5%プロテイン銀水溶液

プロテイン銀0.5g
蒸留水100ml
銅片5g
  • プロテイン銀は蒸留水の上に振りかけて、自然に溶解するのを待つ
  • 泡立つので撹拌はしない

(写真はプロテイン銀S使用)
  • 細かなカスが浮いている場合は濾過する
  • 泡立つので静かにそそぐ
  • 泡立ったらピンセットなどで隅によせる

(写真はプロテイン銀S使用)
  • 銅片を蒸留水で洗う。
  • プロテイン銀液に切片を入れる際に、銅片も静かに液中に沈める。

(写真はAlbumosesilber使用)

0.5%プロテイン銀水溶液調整上の注意点

プロテイン銀S


内包の軸索(200倍)、プロテイン銀S使用
Albumosesilber


内包の軸索(200倍)、Albumosesilber使用

ヒドロキノン・無水硫酸ナトリウム液

蒸留水にハイドロキノンを溶かしてから無水硫酸ナトリウムを加える。

ハイドロキノン1g
無水硫酸ナトリウム4g
蒸留水100ml

1%塩化金水溶液

繰り返し使用可能である。使用後濾過し、冷蔵保存する

塩化金1g
蒸留水100ml

常備すると便利な試薬

1%塩化金水溶液(冷蔵保存)
2%シュウ酸水溶液
定着液

プロテイン銀の種類

神経病理解析室で使用しているプロテイン銀。富士フィルム和光純薬のプロテイン銀以外は販売中止のため入手できない。下記以外で入手可能なプロテイン銀は市場にあるが、メーカーによって全く染まらないものがあるので注意が必要。

製品名製造会社入手状況
プロテイン銀 ※注意富士フイルム和光純薬(株)販売中
AlbumosesilberMERCK販売中止
Albumosesilber DAB6MERCK販売中止
プロテイン銀S第1化学薬品(株)販売中止

※ 注意

富士フイルム和光のプロテイン銀は私達と染色方法が異なる部分がある。プロテイン銀を使用する際は、富士フイルム和光のwebsiteを参照すること。

銅の種類

ボディアンに使用する銅は銅片だけではなく様々な形状のものがある。使いやすいものを選ぶ。
我々は関東化学の銅(片状)を用いている。