アルツハイマー神経原線維変化やグリア封入体などのリン酸化タウの蓄積や、多系統萎縮症のグリア胞体内封入体glial cytoplasmic inclusionのαシヌクレインの凝集体を黒色に染める。これら凝集体は免疫染色でも検出できるが、大切片における変性疾患の検索方法として有用な方法である。
注意:鍍銀・還元・鍍金の行程では、金属製品の使用は避け、プラスチックおよびガラス製品を用いる。
| 1 | 脱パラフィン | キシレン | 3槽、各10分 |
|---|---|---|---|
| 2 | 脱キシレン | 100%エタノール | 3槽、各5分 |
| 3 | 浸水 | 95%、70%エタノール | 各5分 |
| 4 | 流水洗 | 水道水 | 2分 |
| 5 | 酸化 ※1 | 酸化剤 | 切片の色:赤茶 |
| 6 | 流水洗 | 水道水 | |
| 7 | 漂白 ※2 | 2%シュウ酸水溶液 | 切片の色:白 |
| 8 | 流水洗 | 水道水 | |
| 9 | 水洗 ※3 | 蒸留水 | |
| 10 | 鍍銀 ※3 | 鍍銀液 | 切片の色:白 |
| 11 | 洗浄 ※3 | 0.5%酢酸水溶液 | 3槽、各1分 |
| 12 | 還元 ※4 | 還元液 |
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| 13 | 洗浄 ※4 | 0.5%酢酸水溶液 | 3槽、各1分 |
| 14 | 流水洗 | 水道水 | |
| 15 | 水洗 ※5 | 蒸留水 | |
| 16 | 鍍金 ※5 | 鍍金液 | 5〜15分 切片の色:灰白色 |
| 17 | 流水洗 ※6 | 水道水 | |
| 18 | 定着 ※7 | 定着液 | 10分 切片の色:薄紫 |
| 19 | 流水洗 ※8 | 水道水 | 10分以上 |
| 20 | 核染 ※9 | ケルンエヒトロート | 5分 |
| 21 | 流水洗 | 水道水 | 10分 |
| 22 | 脱水 | 70%、95%エタノール | 各5分 |
| 23 | 脱水 | 100%エタノール | 3槽、各5分 |
| 24 | 透徹 | キシレン | 3槽、各10分 |
| 25 | 封入 |
| 作業 | 色変化 | |
|---|---|---|
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0.25%過マンガン酸カリウム水溶液
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赤茶色になる |
| 作業 | 色変化 | |
|---|---|---|
2%シュウ酸水溶液
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シュウ酸に入れる前![]() 入れた後(白くなる) ![]()
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| 作業 | |
|---|---|
水洗蒸留水
鍍銀アルカリヨウ化銀液
洗浄0.5%酢酸水溶液
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![]() |
| 作業 | 色変化 | |
|---|---|---|
還元
洗浄0.5%酢酸水溶液
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![]() ![]()
還元液は時間とともに黒ずむ。液を入れたまま放置するとガラス器具に銀鏡反応による汚れがつき落ちなくなるため、使用後は速やかに器具を洗うこと。
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切片A8分後:うっすらと部分的に黒褐色になる
15分後:全体の構造が黒褐色に浮かび上がる
20分後:黒褐色に塗りつぶされる。全体の構造は分かりづらい。
切片B13分後:うっすらと部分的に黒褐色になる
17分後:全体の構造が黒褐色に浮かび上がる
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| 作業 | 色変化 | |
|---|---|---|
水洗蒸留水
鍍金1%塩化金水溶液
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還元8分:白くなる
還元15分:灰色になる。余分な色がおちて輪郭が明瞭になる
還元20分:黒灰色になる
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| 作業 | |
|---|---|
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水道水
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| 作業 | 色変化 | |
|---|---|---|
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写真の定着液(10倍希釈)もしくは5%チオ硫酸ナトリウム水溶液
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還元8分:ごくうすい薄紫
還元15分:薄紫
還元20分:灰紫
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| 作業 | |
|---|---|
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水道水
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| 作業 | |
|---|---|
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核染(ケルンエヒトロート)
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| 還元8分 | 還元15分 | 還元20分 |
|---|---|---|
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全体的に色が薄い。この染色の陽性像とはならない。
細かな線維の様子も把握できる程度に黒くしっかりと染色されている。
背景が黒く染まっている。細胞は黒く塗りつぶされるように染まり、細かな構造は分からない。
常温の還元液では反応が早く進みすぐに全体が黒褐色にぬりつぶされてしまう。
反応を制御するためには、冷えた還元液でゆっくりと反応を進めること。
冷えた還元液:5分経過
常温の還元液:5分経過
MASコートのスライドガラスはガラス全体が黒くなってしまうので、使用しない方がよい(染色はできる)。
我々はシランコーティングや卵白アルブミンコーティングを使用している。
冷えた還元液:5分経過
蒸留水に水酸化ナトリウム、ヨウ化カリウムの順に溶かしてから、1%硝酸銀水溶液をゆっくりと混ぜる。
硝酸銀が入ると白濁するが混ぜると透明になる。
| 水酸化ナトリウム | 4g |
| ヨウ化カリウム | 10g |
| 1%硝酸銀水溶液 | 3.5ml |
| 蒸留水 | 100ml |
蒸留水に硝酸アンモニウム、硝酸銀、ケイタングステン酸の順に溶かし、最後にホルムアルデヒド水溶液を加える。
| 硝酸アンモニウム | 0.2g |
| 硝酸銀 | 0.2g |
| ケイタングステン酸 | 1g |
| ホルムアルデヒド水溶液(37〜38%) | 0.5ml |
| 蒸留水 | 100ml |
蒸留水に無水炭酸ナトリウムを溶かす。
| 無水炭酸ナトリウム | 5g |
| 蒸留水 | 100ml |
使用直前にB液に等量のA液を少しづつ注いで良く撹拌する。A液が入ると白濁するが、混ぜると透明になる。
繰り返し使用可能である。使用後濾過し、冷蔵保存する
| 塩化金 | 1g |
| 蒸留水 | 100ml |
使用する試薬の種類が多く手間がかかる印象があるが、何回も使用できる試薬や作り置きすることができる試薬が多いため、一度用意すればさほど手間はかからない。
| 還元液A液およびB液 (冷蔵保存。使用時に必要量の還元液を調整) ![]() |
アルカリヨウ化銀液(冷蔵保存)![]() |
1%硝酸銀水溶液(冷蔵保存)![]() ※ 長期保存すると黒く変色してくるので注意する |
1%塩化金水溶液(冷蔵保存)![]() |
2%シュウ酸水溶液![]() |
定着液![]() |
※1%塩化金水溶液、2%シュウ酸水溶液、定着液は、長期保存が可能で他の銀染色にも使用できるため、常備すると便利である。
一度使用した試薬を後日再利用できる試薬がある。
| 正常細胞・組織 | 異常構造・生理的変性構造 | 見えないもの |
|---|---|---|
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リン酸化タウ蓄積: NFT、ピック球(薄い) |
アクロマジア |
| 正常細胞・組織 | 異常構造・生理的変性構造 | 見えないもの |
|---|---|---|
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リン酸化タウ蓄積: ニューロピルスレッド、グレイン |
| 正常細胞・組織 | 異常構造・生理的変性構造 | 見えないもの |
|---|---|---|
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リン酸化タウ蓄積: 房状アストロサイト、アストロサイト斑 棘様アストロサイト |
| 正常細胞・組織 | 異常構造・生理的変性構造 | 見えないもの |
|---|---|---|
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