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ミッション

正しい神経病理標本を作成する知識と技術の普及に取り組んでいます。

背景

不適切な染色像が誤診を招く

右図は小脳のヘマトキシリン・エオジン染色標本です。中央にはプルキンエ細胞が2つあります。小脳をヘマトキシリン・エオジン染色で染めると、正常なプルキンエ細胞ならば核は青紫色に、細胞質はピンク色に染まります。
ところが、この2つのプルキンエ細胞は細胞質と核が共に濃い赤い色をしており、また、核、細胞質共に萎縮しているように見えます。
従って、これらプルキンエ細胞は正常とは言えず、細胞質が赤くなり萎縮する虚血性変化と診断する人も多いと思います。
しかし、これは虚血性変化ではありません。実は、劣化した染色液を使用したため、本来染まるべき色に染まらなかったにすぎません。これは、不適切な染色像が誤診を招く一例です。

標本の質のばらつき

病理診断は標本の質に大きく左右されます。そのため、細胞成分や病変などを正しく反映した標本を作製することは重要なことです。しかし、標本作製の知識や技術が施設間で共有されていないと実感することがあります。例えば、学会で標本を供覧すると、施設ごとに標本の質に差があることに気がつきます。中には肝心の病変の検出が困難な標本に遭遇することもあります。

施設間の標本の質のばらつきは、病理診断の格差ひいては医療の地域間格差につながると考えられます。この格差をなくすためには、施設をまたがって基準となる標本作製技術を共有することが重要です。

特色

引き継がれてきた知識と技術

神経病理解析室は、東京都神経科学総合研究所の臨床神経病理研究室を前身としています。約45年間、神経疾患の病態解明を代々行ってきました。中枢神経系疾患の病態解明のために脳病理標本を作成し、現在は約5000例の脳病理標本を所蔵しています。約5000例の標本作製を通して、正確な病理診断を導く標本作製の技術や知識を積み重ねてきました。先輩たちが積み重ねてきたこの技術と知識は、私たちの代に引き継がれています。

手作業による標本作製

多くの検査室、研究室において自動包埋装置や自動染色装置などが用いられています。しかし、私たちは固定脳の切り出し、脱水、包埋、薄切、染色、封入までの一連の作業をすべて手作業で行っています。

大型脳標本の作成

私たちは、全国的にもめずらしい、大型脳標本を作成する研究施設です。
大型脳標本は病変初発部位から、病変がどのように進展していったのか一目瞭然として把握できます。
また、生前の画像検査(CT, MRIなど)との対比が容易です。

中枢神経系の染色

中枢神経系組織には、髄鞘や神経突起など一般組織にはない特異的な構造があります。
これら特異的な構造は、特殊染色法で検出することができます。
私たちは、組織の成り立ちを概観するヘマトキシリン・エオジン法と複数の特殊染色法を組み合わせて中枢神経系の病理診断を行っています。