核およびニッスル小体(粗面小胞体)をクレシルバイオレットで青紫色に染める。
クリューバー・バレラ染色(KB染色)に用いられる。
1 | 脱パラフィン | キシレン | 3槽、各10分 |
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2 | 脱キシレン | 100%エタノール | 3槽、各5分 |
3 | 浸水 | 5%、70%エタノール | 各5分 |
4 | 流水洗 | 水道水 | |
5 | 水洗 | 蒸留水 | |
6 | 染色 | 0.1%クレシルバイオレット水溶液 | 10分、37℃ |
7 | 分別 | 95%エタノール+10%酢酸数滴 | 5〜10分程度 次の行程でも分別されるため分別しすぎない |
8 | 分別 | 95%、100%エタノール | 1分程度づつ 核とニッスル小体のみが青紫色になるまで分別する |
9 | 検鏡 | 分別は顕微鏡下で確認しながら行う 分別が不足なら⑦、⑧をやり直す |
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10 | 脱水 | 100%エタノール | 2槽、各5分 |
11 | 透徹 | キシレン | 3槽、各10分 |
12 | 封入 |
クレシルバイオレット | 1g |
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蒸留水 | 1000ml |
染色液のpHの値によって染まり方が異なる。pHの値が3.0近辺では、ニッスル小体、核小体、核膜のみが淡青色に染まる。グリア細胞の核はうっすら染まる程度である。pHの値が高くなるにつれて全体的に色が濃くなり、神経細胞の細胞形質、神経線維、グリア細胞などが共染するようになる。pH4.0近辺では共染が強くなるため、分別にかかる時間が長くなる。
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現在、神経病理解析室で使用しているクレシルバイオレットは以下の3つ。
製品名 | 製造会社 | 入手状況 |
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Cresyl Violet Acetate | EM SCIENCE | 販売中止 |
Cresyl Violet acetate | SIGMA | 入手可 |
Cresyl violet (Acetate) | MERCK | 入手可 |
製品によって染色液のpHが異なるため染まり方が異なる。したがって、分別にかかる時間がそれぞれの製品によって異なるため注意が必要。しかし、どの製品を使用しても、鏡検しながら分別をすることで最終的に得られる染色像を同じにすることができる。
製品名 | 製造会社 | 0.1%水溶液のpH | 95%エタノール分別にかかる時間 |
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Cresyl Violet Acetate | EM SCIENCE | 3.5 | 10〜30秒 |
Cresyl Violet acetate | SIGMA | 4.7 | 10分ぐらい |
Cresyl violet (Acetate) | MERCK | 4.8 | 10分ぐらい |
※ SIGMA社とMERCK社の染色液に10%酢酸を適量加え、pHを3.5から3.8程度に調整することによって、95%エタノール分別にかかる時間を短くすることが可能。しかし、酢酸を加えた染色液は再利用しない。
背景が白くなるまで分別する。また神経細胞の核は、核小体および核膜が明瞭で染色質の色が薄く染まるのが理想。
SIGMA, Cresyl Violet acetate(pH4.7)使用
写真左)95%エタノール分別、10秒のみ:分別が不十分だと神経細胞全体がべったり青く染まっているため、核、ニッスル小体を識別できない。
写真右)95%エタノール分別、10分間:分別を十分に行うことにより、神経細胞の核、ニッスル小体がはっきりと区別できるようになる。