東京都医学総合研究所・神経病理解析室が保有する中枢神経系のホールスライドイメージ、および、脳疾患の病理標本などの研究資料の紹介を致します。
2017年9月、第16回日本デジタルパソロジー研究会が開催されました。冒頭の会長挨拶では、2017年4月に米国FDAがバーチャルスライド機器を医療器具として承認されたことに触れて、日本でもそのような流れが加速度的に生まれるという考えを提示されました。
では、デジタルパソロジーとは何か? 広義には、ガラス標本の組織情報をデジタル化したもの、と言えますが、本来の意味としては、バーチャルスライド機器によってデジタル化した標本情報を用いて診断する行為、さらに、そのシステム全体を意味しています。このようにバーチャルスライド機器によってデジタル化されたデータのことを、ホールスライドイメージ(WSI)と言います。
病理診断現場、および、検体や標本から派生する研究における近未来の姿は、このようになると思われます。ひとつは、標本観察は完全デジタル化、つまり、顕微鏡が不要な時代がやってきます。また、デジタルデータを解析する人工知能ソフトが開発されて、診断そのもの、とは言いませんが、診断サポートを受けることができるようになります。さらには、そのような仕組みを実用化することにより、これまで知られていなかった病変が浮き彫りになってくると思われ、このような流れそのものが、基礎研究の成果を人体で検証するモチベーション向上に繋がってゆくものと思われます。