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4)変性疾患で有用な免疫染色

新しい「蛋白病」のカテゴリー

多くの変性疾患で特徴的に形成される病理構造物において、蛋白質のコンフォメーション異常が解明されてきており、いくつかの「蛋白病」のカテゴリーが提唱されている。その代表蛋白が、タウ、シヌクレイン、ポリグルタミン、TDP-43であり免疫組織学的に染色される。

これらの殆どがユビキチン化を受けているのでスクリーニングでは抗ユビキチン抗体による染色が合理的である。これらの異常構造物は一般的な神経系の染色を選択すれば観察できるが、トリプレットリピート病の核内封入体(ユビキチン陽性、ポリグルタミン陽性)は可視化できないので免疫染色は必須である。ただし、筋萎縮性側索硬化症のブニナ小体は下記の抗体では染まらない。

変性疾患の鑑別で有用な免疫染色

代表的な封入体の染色性

病理構造と診断の関係

ブラーク分類

蓄積蛋白によって加齢による蓄積パタンが若干異なる。ブラーク分類で評価する際には切り出し部位(観察部位)に留意する。アミロイド(老人斑)、リン酸化タウ(神経原線維変化)は比較的類似した蓄積パタンを示すが、リン酸化αシヌクレイン(レヴィ小体)は脳幹(延髄)、嗅球から蓄積が始まるのが特徴的である。