相撲部屋力士傷害致死事件やガス器具による中毒事件などがきっかけとなり、日本の死因究明制度の未熟さが注目され、政党内、中央省庁での検討が平成17年より始まった。警察庁内での「犯罪死の見逃し防止に資する死因究明制度研究会」の提言を受け、議員立法により死因究明等推進二法案が可決され、現在、内閣府内に死因究明等推進会議が設置され日本の死因究明制度がいかにあるべきかについて議論が重ねられている。
監察医制度が施行されている地域は、東京23区、大阪、神戸など限られた地域である。非施行地域では、警察が犯罪性なしと判断すれば、死因究明のための解剖が行われることは殆どなく、適当な死因をつけて葬られているのが現状である。
死因究明とは、犯罪死の見逃し防止のためだけのものなのか。医師法第21条の異状死の届出義務とは何を意味するのか。
本講演では、死因究明の目的と意義、制度の在り方について、皆様と共に議論したい。