WHO grade II(WHO2016におけるgrade)
びまん性星細胞腫
Diffuse astrocytoma
- びまん性星細胞腫, IDH変異 Diffuse astrocytoma, IDH-mutant
- 肥胖細胞性星細胞腫, IDH変異 Gemistocytic astrocytoma, IDH-mutant
- びまん性星細胞腫, IDH野生型 Diffuse astrocytoma, IDH-wildtype→WHO2021では削除
- びまん性星細胞腫, 未確定 Diffuse astrocytoma, NOS
※WHO2021から大きく変更された。変更点は以下の通りである。
- IDH-wildtypeの群は本腫瘍から除外された
- Diffuse astrocytomaという名称がAstrocytomaに変更された
- 分子遺伝学的背景によりWHO gradeが2, 3, 4まで分類された
- grade 2:
- 退形成性を欠き、核分裂像は無いがあっても少数。
微小血管増生、壊死、CDKN2A/Bの共欠損は認められない。
- grade 3:
- 退形成性と有意な核分裂像を伴う。
微小血管増生、壊死、CDKN2A/Bの共欠損は認められない。
- grade 4:
- 微小血管増生、壊死またはCDKN2A/Bの共欠損を認める(Glioblastomaの名称は使わない)。
本標本はgrade 2のAstrocytomaに相当する組織標本です。
【組織所見】
異型の弱い腫瘍性の星細胞が脳実質にびまん性に浸潤しながら増殖する低悪性度神経膠腫。細胞密度の上昇が軽度〜中等度みられるが病変の辺縁が採取された場合はごく軽度で診断が難しい場合がある。ただ見慣れてくるとパット見で「非腫瘍部と比べて細胞が多いな」と感じるようになる。増殖能は低く、核分裂像は見られないか大検体でごく少数にとどまり、KI-67の標識率は4%以下である。
【免疫組織化学/分子情報】
- 免疫染色:
- GFAP(+), Olig2(+), p53(+), ATRX(-)
- 遺伝子変異:
- IDH変異に加え、CDKN2A/B deletionの検索が必要となった。CDKN2A/Bの共欠損症例は予後が悪く、Astrocytoma, IHD-mutantでありながらWHO grade 4の診断となる。
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 p53陽性(10%以上で強陽性) |
 Ki-67は4%以下 |
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