運動神経系の病変

上位運動ニューロン疾患

上位運動神経ニューロン系の障害は、一次運動野(中心前回)の運動神経であるベッツ(Betz)細胞が変性し、さらに変性したベッツ細胞の周囲には、破壊され放出されたベッツ細胞の破壊成分を貪食するマクロファージが集積し、神経食現象(neuronophagia)と言います。一次運動野の神経細胞の軸索は、内包後脚、大脳脚、橋縦束、延髄錐体、脊髄側索・前索を下降しますが、そこを通過する主に太い軸索線維に変性が生じます。それに伴い軸索を取り囲んでいる髄鞘も破壊されるため、髄鞘の主たる成 分である脂質成分を貪食するマクロファージが浸潤してきます。 さらにこれらの変性部位にはグリア細胞の一種であるアストロサイトの増生(グリオーシス)が形成されます。これら一連の変性を生じる疾患を上位運動ニューロン疾患と言います。これには原発性側索硬化症(primary lateral sclerosis)という疾患が知られています。