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CNS マクロ解剖

東京都医学総合研究所・神経病理解析室
新井信隆

(1)硬膜、軟膜などを観察する

厚い硬膜の表面には硬膜動脈(←)による隆起を認める。穹隆部では正中部に前後に走るしわがある(下図)。

上矢状洞の上面の硬膜部分をはさみで切開し、血栓がないかどうか(上矢状洞血栓症)を確認する(下図)。

硬膜をめくると、硬膜の裏側から上矢状洞に繋がる架橋静脈を認める(←)。つぶつぶ状のくも膜顆粒を認める(○)。

大脳穹隆部

(2)中心前回を同定する

硬膜を捲ると軟膜に覆われた大脳が見える。下記の2つの方法で中心前回を同定する。

a)上前頭溝(赤)を後ろに辿ってゆくと、ほぼ垂直に交叉する脳回があり、それが中心前溝(青)である。従って、その後ろが中心溝(黄)、その後ろが中心後溝(黒)であり、中心溝と中心前溝で挟まれた脳回が中心前回(←)と同定される。

大脳穹窿部

b)大脳の内側面を観察すると、帯状回の上に帯状溝(緑)が走っており、後ろにゆくに従って上方に向かい、脳表面に開放する(帯状回辺縁部)。その前の脳回が、中心後回であるので、その前が中心前回と同定することができる。

大脳内側面

(3)脳底部の血管を確認する

(4)シルビウス裂奥の血管を確認する

(5)脳幹を大脳から切り離す

(6)脳幹・小脳の前面を観察して切り出す

(7)大脳・脳幹・小脳のサンプリング部位(例示)

(8)脊髄のレベル決め