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第9回 サイエンスカフェin上北沢
東京都医学総合研究所
脳発達・神経再生研究分野 分野長
脳病理標本リサーチセンター 統括マネージャー
新井信隆

こんにちは。サイエンスカフェにご参加下さりありがとうございます。本日はヒトの脳の形や仕組み、そして障害されたときにどのようなことが生じるのか、という事などを、簡単にご紹介したいと思います。

演者の自己紹介

まず自己紹介。もともとは病理学教室の出身ですので、ヒトの脳そのものを顕微鏡で観察し診断や研究を行い、診断の標準化や精度向上、専門家の養成などに係る社会貢献を行ってきました。今日のサイエンスカフェも普及交流活動の一環です。

キャリア

横浜市立大学医学部 病理学教室

東京都神経科学総合研究所 臨床神経病理研究部門

ロンドン大学 精神医学研究所 神経病理学研究室

東京都医学総合研究所 脳発達・神経再生研究分野 脳病理標本リサーチセンター

リサーチテーマ

ヒト脳神経疾患の臨床病理学的研究

てんかん脳外科治療における外科病理診断

医学教育のおける病理デジタル学習システム開発

社会貢献

  1. 病院連携による脳神経疾患の病理診断のコンサルテーション
  2. 司法解剖の鑑定書作成のための専門的病理診断の技術指導
  3. 脳神経疾患の病理診断の精度向上のための仕組み作り
    1. テキスト(教科書)出版
    2. デジタルデータベース作成
  4. 専門医養成のための教育活動
    1. 医学研・夏のセミナー「神経病理ハンズオン」
    2. 日本神経病理学会「神経病理コアカリキュラム教育セミナー」
    3. 神経内科専門医受験のための研修生受け入れ
  5. 普及交流活動

ヒトの脳病理標本作成施設

代表的なヒトの脳病理標本作成施設

ヒトの脳病理標本(特に大型標本)を作成している施設はそれほど多くはありません。東京都医学総合研究所は、約40年まえから脳病理標本作製を行ってきた東京都神経科学総合研究所(神経研)と東京都精神医学総合研究所(精神研)が前身ですので、本邦で最大のヒト脳病理標本作製施設となります。2つの旧研究所を合わせると約5,000例の脳病理標本が保管されています。

パラフィンブロックと大型脳病理標本

ホルマリンで固定した脳組織はパラフィンブロックに加工され、大型脳病理標本になります。旧神経研では39年間で約2,000例の脳病理標本を作成してきました。

脳病理標本室とデジタルパソロジーステーション

脳病理標本室(医学研)

病理検体の脳ブロックと標本が、電動棚に整然と保管され、厳重なセキュリティーシステムによって入退室も管理されています。

デジタルパソロジーステーション (医学研S106)

デジタルパソロジーステーションには、脳標本を高精度にデジタルスキャンするバーチャルスライド機器が2台、稼働して、デジタルパソロジーコーディネータが、日々デジタルデータを作成しています。2台のバーチャルスライド機器が並んで設置してある施設はおそらくここだけと思います。

脳神経病理データベース専用サーバー

データはHTML化され専用サーバに搭載され、現在、約600コンテンツが閲覧可能となっています。

データベースのコンセプト

現在作成している脳神経病理データベースは、①全国に張り巡られた情報通信技術(ちょっと昔はITと言っていましたが、今はICTと呼ばれています)、②最近の革新的なデジタルスキャン装置であるベーチャルスライド機器、そして医学研が保有する膨大な脳標本、という3つの特色が結集された画期的なデータベースとなる予定です(自画自賛)。

医学研・脳神経病理データベース

このデータベースにはインターネットを介してアクセスすることが可能で、病院、大学、研究所の医師や研究者が、ユビキタスに閲覧することができるようになります。また、病院の病理診断のコンサルテーションも受けることが可能となり、それらの結果、脳神経疾患の病理診断の向上に繋がると考えています。