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第55回 日本小児神経学会学術集会
鉄リサイクル異常によるてんかん病理
公益財団法人 東京都医学総合研究所
東京都立神経病院
新井信隆

鉄の脳内代謝

銅と同じような遷移金属である鉄は、活性酸素やフリーラジカルの活性化を促進し、結果としてアポトーシス、細胞膜破壊、蛋白凝集を促進します。このような鉄が、リサイクルシステムの破綻により脳内に沈着する病態がいくつか知られていますが、てんかんもその一つではないかと考えています。

焦点切除病変の内訳と問題点

難治性てんかんの脳外科治療で焦点切除された脳組織の病理変化の内訳はこのようなものですが、鉄イオンが沈着している“鉄ストレス病変”をしばしば観察することがあります。

日常の食事で一日あたり40-50mgが体内に入り、そのうち数mgが吸収されます。それらの鉄分は大きくわけて、無機鉄化合物、ヘム鉄蛋白質、非ヘム鉄蛋白質がありますが、そのうち、脳内鉄リサイクルに関係してくるのは、非ヘム鉄蛋白のトランスフェリン、フェリチンなどです。

鉄代謝の脳内サイクル

血管内の血液中では、3価鉄とトランスフェリンが結合した複合体がトランスフェリンレセプターを介し、血液脳関門(blood brain barrier; BBB)を通り抜けて脳実質内に入り、二価イオントランスポーター(DMT-1)によってアストロサイト内に入ります。アストロサイト内の二価鉄イオンはミトコンドリアに取り込まれたり、フェリチンと結合します。細胞内の鉄を細胞外に出す働きを持つセルロプラスミンによって、細胞外に出された鉄は神経細胞内に取り込まれ、やがて細胞外に放出されてアストロサイト内に取り込まれます。これらのバランスが崩れると、アストロサイト内に鉄が過剰になったり、神経細胞にとっては鉄が不足するというような事態に陥ります。