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本気で中枢神経の疾患病理を学ぶ
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ペルオキシソーム異常症/副腎白質ジストロフィー

ライソゾーム異常症/クラッベ病

脳形成異常/滑脳症1型

トリプレットリピート病/マチャド・ジョセフ病(MJD)

シヌクレイノパチー/多系統萎縮症

タウオパチー/ピック病

シヌクレイノパチー/多系統萎縮症 (Multiple system atrophy)

多系統萎縮症(multiple system atrophy; MSA)はもともと1969年にGrahamとOppenheimerによって提唱された疾患概念であった。これは、もともと別の疾患として臨床病理学的に扱われていた3疾患、つまり、①オリーブ橋小脳萎縮症(olivopontocerebellar atrophy; OPCA)、②線条体黒質変性症(striatonigral degeneration; SND)、③シャイ・ドラーガー症候群(Shy-Drager syndrome; SDS)を包括する疾患として提唱されたものであった。
その後、1989年(Pappら)、1990年(Nakazatoら)に相次いで、OPCA、SND、SDSの剖検症例に共通して観察されるオリゴデンドログリア内の細胞質内封入体(glial cytoplasmic inclusion; GCI)の存在が報告された。そして、このGCIはその他の変性疾患には出現しないことが1990年代前半に明らかになるに至り、OPCA、SND、SDSは同じスペクトラム上にある、いくつかの表現型を持つ同一疾患であるという考えが定着してきた。

1)オリーブ橋小脳萎縮症(olivopontocerebellar atrophy)

小脳では小脳皮質プルキンエ細胞層、白質が変性する。プルキンエ細胞は脱落し、ベルグマングリアの増生が著しい。白質の病変は強く、有髄神経線維は高度に脱落しグリオーシすを来す。橋では橋核、横走線維が変性し、入力系である中小脳脚から小脳白質が変性する。下オリーブ核も変性する。

2)線条体黒質変性症(striatonigral degeneration)

線条体では主に被殻、そして尾状核も変性し、高度な神経細胞脱落と線維性アストロサイトの増生が見られる。黒質は特に緻密帯の神経細胞が脱落する。また、OPCAの主たる病理像を同時に認める症例の報告も多い。

3)シャイ・ドラーガー症候群(Shy-Drager syndrome)

自律神経系である脳幹、脊髄の諸核が変性するもので、病変は、胸髄の中間質外側核、迷走神経背側核、青斑核、縫線核など自律神経系の諸核であるが、OPCAの病変、SNDの病変も共存することがある。

大脳基底核

  • 被殻が萎縮して褐色に変色している。この所見は多系統萎縮症に特徴的である。
  • 被殻が萎縮して褐色に変色している。この所見は多系統萎縮症に特徴的である。
  • 被殻、淡蒼球の髄鞘が破壊されている(KB染色)
  • 被殻、淡蒼球にグリオーシスが形成されている(ホルツァー染色)
  • 被殻、淡蒼球に高度なグリオーシスが形成されている(ホルツァー染色)
  • 被殻に線維性アストロサイトの増生を認める(HE染色)
  • 神経細胞が高度に脱落している(KB染色)
  • オリゴデンドログリアの細胞質内封入体はヘ染色では淡くて判別しにくい。オリゴデンドログリアの核としてはやや大きめの核を有する。(HE染色)
  • 封入体は銀染色でも淡くしか染まらない。(ボディアン染色)
  • ガリアス染色では黒色に明瞭に染まる。(ガリアス染色)

脳幹

  • 小脳と橋(特に腹側部)が萎縮している。
  • 黒質変性を伴うため黒質では脱色素を認める。
  • 腹側部の橋核と橋横走線維が脱落するため、本来の丸みを失い腹側に尖ってみえる。
  • 橋横走線維が脱落している(KB染色)
  • 橋横走線維束にグリオーシスが形成されている(ホルツァー染色)
  • 下オリーブ核が淡明化している(KB染色)
  • 下オリーブ核にグリオーシスが形成されている(ホルツァー染色)
  • 黒質神経細胞が破壊され脱色素が生じている(HE染色)

小脳

  • 小脳が萎縮して後頭葉極と側面との間に大きな隙間があいている。
  • 小脳皮質と白質が著明に萎縮する一方、遠心路が出て行く歯状核門は保たれる。
  • 小脳皮質と白質が著明に萎縮し、歯状核も褐色に変色している。
  • 小脳半球の白質が脱落。歯状核門は保たれる(KB染色)
  • 小脳半球の白質にグリオーシス。歯状核門は保たれる(ホルツァー染色)
  • プルキンエ細胞の脱落
    ベルクマングリアの増生(HE染色)
  • プルキンエ細胞の脱落
    ベルクマングリアの増生(KB染色)
  • 小脳白質にグリオーシスが形成される(ホルツァー染色)
  • 小脳皮質(分子層)にベルクマングリオーシスが形成される(ホルツァー染色)