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本気で中枢神経の疾患病理を学ぶ
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神経皮膚症候群/結節性硬化症

循環障害/脳梗塞(基底核・島回)

非ウイルス性感染症など/結核性髄膜炎

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てんかん外科病理関係/海馬硬化

運動ニューロン疾患/筋萎縮性側索硬化症

運動ニューロン疾患/筋萎縮性側索硬化症

上位運動ニューロン系の障害は、大脳皮質運動野(中心前回)の運動神経であるベッツ(Betz)巨細胞が変性することによる。変性し消失したベッツ巨細胞の周囲には、破壊され放出された細胞成分を貪色するマクロファージが集積し、神経細胞食現象(neuronophagia)を呈する。運動野の神経細胞の軸索は、内包後脚、大脳脚、延髄錐体、脊髄側索・前索を下降し、主に大径軸索線維の変性による索変性を呈する。それに伴い髄鞘も破壊されるため、主たる成分である脂質を貪色するマクロファージ(脂肪顆粒細胞、fat-granule cell)が浸潤する。

上位運動ニューロンの投射を受けた下位運動ニューロンである脳幹の運動を司る諸核(迷走神経背側核、顔面神経核など多数)、また、脊髄前角の運動神経細胞は変性、脱落し、グリオーシスに陥る。脊髄前角では、神経細胞の近位軸索に軸索腫大(スフェロイド)を来す。仙髄オヌフ(Onuf)核は通常保たれる。

残存する神経細胞内にはしばしばブニナ小体(Bunina body)、スケイン様封入体(skein-like inclusion)などの異常構造物を認める。これらは本疾患に特異的に出現するが、このうち、ブニナ小体の数は非常に少ない。むしろ、スケイン様封入体は多く観察される。脊髄前根は典型例では高度に萎縮する。また、骨格筋はこれら上位運動ニューロン、下位運動ニューロンの障害により神経原性筋萎縮に陥る。

中心前回

  • 中心前回の幅が狭くなっていて萎縮していることが明瞭である。一つ後ろの後頭葉側の脳回(中心後回)は、感覚性皮質で中心前回より狭いはずであるが、中心前回の萎縮で、見かけ上、太い脳回に見える。
  • 中心前回の皮質が薄くなり、色も褐色調になっている(→)。
  • 中心前回の白質が淡明化している。(KB染色)
  • 中心前回の皮質・白質にグリオーシスが形成されている(GFAP染色)
  • 神経貪食現象(neuronophagia)を示す。(HE染色)

内包

  • 中心前回にある運動神経細胞の軸索は内包後脚の中央あたりを下降するので、変性が進行すると、その部分が灰色に変色することがある。
  • 中心前回にある運動神経細胞の軸索は内包後脚の中央あたりを下降するので(その通り道を錐体路という)、変性が進行すると、その部分が灰色に変色することがある。
  • 錐体路が下降する内包後脚中央部が白っぽくなっている。(HE染色)
  • 破壊された髄鞘成分(主に脂質)を貪食するマクロファージが多数動員されている。(HE染色)
  • 錐体路が下降する内包後脚中央部が白っぽくなっている。(KB染色)
  • 破壊された髄鞘成分(主に脂質)を貪食するマクロファージが多数動員されている。(KB染色)

脳幹

  • 左から中脳、橋、延髄を示す。矢印はそれぞれのレベルでの錐体路を示している。中脳では大脳脚の中央部あたり、橋ではやや白っぽくなっている橋縦束、延髄では点線で囲ってある延髄錐体を下降する。変性すると白っぽく変色する。
  • 矢印で示した白っぽい塊が、変性している橋縦束(錐体路)である。横方向に走っている白い線維束は、橋横走線維である。
  • 脊髄の横断面を示す。矢印で示したところが、左右の側索であり、白っぽく変色している。一方、背側の後索が見かけ上、大きく見える。
  • 橋レベルの錐体路である橋縦束の髄鞘破壊により白っぽくなっている。(KB染色)
  • 破壊された髄鞘成分(主に脂質)を貪食するマクロファージが多数動員される。(KB染色)
  • 橋レベルの錐体路である橋縦束の軸索破壊により白っぽくなっている。(ボディアン染色)
  • 橋縦束の軸索は高度に破壊され、それにともない破壊される髄鞘成分を貪食するマクロファージを多数認める。(ボディアン染色)
  • 延髄レベルの錐体路である延髄錐体の髄鞘破壊により白っぽくなっている。(KB染色)
  • 髄鞘が高度に脱落している(KB染色)
  • 延髄レベルの錐体路である延髄錐体の髄鞘破壊により白っぽくなっている。(ボディアン染色)
  • 脊髄における錐体路である側索、前索は髄鞘破壊により白くなっている。(ボディアン染色)

脊髄

  • 正中に動脈(前脊髄動脈)があるので、腹側が上になっている。そこから出る前根は、もっと太いはずであるが、萎縮して細いものが多い(→)。
  • 正中に動脈(前脊髄動脈)があるので、腹側が上になっている。そこから出る前根は、もっと太いはずであるが、萎縮して細いものが多い(→)。
  • 正中に動脈(前脊髄動脈)があるので、腹側が上になっている。そこから出る前根は、もっと太いはずであるが、萎縮して細いものが多い(→)。
  • 正常の脊髄腹側部を示す。しっかりしている前根がたくさんある。
  • 脊髄における錐体路である側索、前索は髄鞘破壊により白くなっている。(HE染色)
  • 破壊された髄鞘成分(主に脂質)を貪食するマクロファージが多数動員されている。(HE染色)
  • 脊髄における錐体路である側索、前索は髄鞘破壊により白くなっている。(KB染色)
  • この症例では側索の髄鞘がほぼ完全に脱落している。(KB染色)
  • 橋縦束の軸索は高度に破壊され、それにともない破壊される髄鞘成分を貪食するマクロファージを多数認める。(ボディアン染色)
  • 軸索は高度に破壊され、それにともない破壊される髄鞘成分を貪食するマクロファージを多数認める。(ボディアン染色)
  • ブニナ小体を示す。(HE染色)
  • 好酸性レビー小体様封入体を示す。(HE染色)
  • 好酸性レビー小体様封入体を示す。(ユビキチン染色)
  • 糸くず様のスケインを示す。(ユビキチン染色)
  • スケインの主成分はリン酸化TDP-43である。(リン酸化TDP-43染色)