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タウオパチー

アルツハイマー病(Alzheimer’s disease)

肉眼的には大脳皮質(脳回)の著明な萎縮とともに、白質の萎縮を認め、側脳室も高度に拡大する。ただし、同じように高度に萎縮する疾患群も多いので、マクロ所見だけで本症を診断することはできない。

大脳皮質にはアミロイド斑(amyloid plaque; AP)、アルツハイマー神経原線維変化(Alzheimer’s neurofibrillary tangles; NFT)が生理的な範囲を超えて多数形成される。これら二つの病理的な重症度分類としてはブラークの分類などがある。

APは老人斑(senile plaque)とも言う。APの主たる構成成分であるAβは、アミロイド前駆蛋白(amyloid precursor protein; APP)がβセクレターゼ、γセクレターゼにより切断されて産生されるものであるが、生理的な分解プロセスが破綻することによって、脳内のニューロピルに沈着したものがアミロイド斑である。正常加齢でも産生・沈着されるが、分解プロセスの破綻の程度が生理的範囲を越えることにより、公汎かつ多量に脳内沈着することがアルツハイマー病の基本病変である。常染色体優性遺伝性の家族性アルツハイマー病の病因遺伝子として第21番染色体上に同定されたAPP遺伝子、およびγセクレターゼの酵素をコードする遺伝子として同定されたpresenilinの変異が、アルツハイマー病におけAβ沈着の促進因子であることが明らかとなっている。また、アポリポタンパクEのε4アレルもアルツハイマー病の危険因子である。

APはAβに対する抗体を用いた免疫染色での検出のほか、比較的古典的な手法として銀染色が行われる(ボディアン染色、メセナミン銀染色、ビルショウスキー染色平野変法など)。APの中にも中心部に芯(core)のある斑とない斑(び漫性アミロイド斑)など形態の違いがあるが、これらの古典的な銀染色法は、様々に形態的な様子が違うAPの検出に際しては、一長一短がある。