⑫ 染色

ホルツァー(Holzer)染色

アストロサイトの突起内の線維成分をクリスタルバイオレットで青紫色に染色する。組織障害に反応し増殖するアストロサイトの線維成分やグリオーシスを肉眼で観察し、病変の分布や強弱を見るには非常に有用な染色法である。

染色手順

1脱パラフィンキシレン3槽、各10分
2脱キシレン100%エタノール3槽、各5分
3浸水95%、70%エタノール各5分
4媒染 ※1燐モリブデン酸媒染液1分
5媒染 ※2クロロフォルム・アルコール混合液
  • 濾紙(4枚重ね)に液を浸して切片上にかぶせて平均的に強く押し、ただちに液をたっぷりかける
  • 切片が透き通るまで置く(10秒程度)
6染色 ※32%クリスタルバイオレット液
  • クロロフォルム・アルコール混合液を捨てると同時にクリスタルバイオレット液でクロロフォルム・アルコール混合液をすべて流しきる
  • 濾紙(4枚重ね)を切片上にかぶせて平均的に強く押し液を吸い取る
7洗浄 ※410%臭化カリウム水溶液1分以上
8分別 ※5アニリン・キシレン混合液
  • 濾紙(4枚重ね)に液を浸して切片上にかぶせて平均的に強く押した後、液をかけてしばらく置く
  • 15分おきぐらいに液を交換
9検鏡グリア線維以外が白くなるまで分別する
10洗浄 ※6キシレン2回、1分づつ
11透徹 ※6キシレン3槽、各10分
12封入 ※6  

作業ポイント

手順 ③ 〜 手順 ⑥ 解説ムービー

※1 媒染

作業

燐モリブデン酸媒染液

  • 1分

※2 媒染

作業

クロロフォルム・アルコール混合液

  • 濾紙(4枚重ね)に液を浸す
  • クロロフォルム・アルコール混合液が染み込んだ濾紙を切片上にかぶせて平均的に強く押す
  • ただちにクロロフォルム・アルコール混合液をたっぷりかける
  • 切片が透き通るまで置く(10秒程度)

※ クロロフォルム・アルコール混合液はすぐに蒸発するので、切片が乾かないよう、液を途中で注ぎ足しても良い。

※3 染色

作業

2%クリスタルバイオレット液

  • クロロフォルム・アルコール混合液を捨てると同時にクリスタルバイオレット液でクロロフォルム・アルコール混合液をすべて流しきる
  • 濾紙(4枚重ね)を切片上にかぶせて平均的に強く押しクリスタルバイオレット液を吸い取る

※4 洗浄

作業

10%臭化カリウム液

  • 10%臭化カリウム液を切片上にかける
  • 1分以上おく

※5 分別

作業

アニリン・キシレン混合液

  • 濾紙(4枚重ね)にアニリン・キシレン混合液を浸す
  • アニリン・キシレン混合液が染み込んだ濾紙を切片上にかぶせて平均的に強く押す
  • アニリン・キシレン混合液をかけてしばらく置く
  • 15分おきぐらいにアニリン・キシレン混合液を交換

※ 頻繁に液を交換する必要はない

  • 分別時間の違いによる染色結果の違い
分別15分後分別30分後分別45分後
  • 必要に応じて検鏡し、十分に分別されている事を確認した後に、切片上のアニリン・キシレン混合液を捨てキシレンをかける。
    しばらく置いた後、キシレンを捨て、新しいキシレンをかける。

※ この際、ピンセットをキシレンで洗う。

※6 洗浄、透徹、封入

作業

キシレン数回

ページの先頭へ

染色液

10%臭化カリウム

臭化カリウム1g
蒸留水100ml

燐モリブデン酸媒染液

1%燐モリブデン酸水溶液
(水100mlにモリブドリン酸1gを溶く)
100ml
95%エタノ-ル300ml
割合1:3

クロロフォルム・アルコ-ル

クロロフォルム400ml
エタノ-ル100ml
割合4:1

クリスタルバイオレット

クリスタルバイオレット2g
エタノール100ml

※ ろ過して使用

アニリンキシレン

アニリン
キシレン
割合1:1
ページの先頭へ

配置

便利グッズ

注意

人体に有害な試薬を用いるので、ドラフト内で作業すること。

染色態度

アストロサイト

正常細胞・組織 異常構造・生理的変性構造 見えないもの
突起の一部(近位) グリオーシス
  1. Isomorphic gliosis
  2. Anisomorphic gliosis
  3. 結節性硬化症の皮質結節
  4. Dissociation gliomyelinique
類でんぷん小体
多数

動画でまなぶ染色態度